社会保険料の計算方法!4月5月6月が決め手ってホント?!

ああそうだ、そろそろ社会保険労務士から送付されてきた書類を早く提出しないといけないんだった。と、6月半ばに目を通したままにしておいた社会保険料に関する書類に手を付けようとしたんです。

会社の事務員として、何となくこの時期のお決まりの作業だから、とほとんど疑問も持たずにやっていた訳ですが、後輩に「どうして、社会保険料の算出するのに4月5月6月分の給与だけを申告するんでしょうね。」と言われたんです。そう言われれば確かにそうね、と思いました。

労務士さんからは「この表に書かれたデータで次期社会保険料が決定します」とのこと。1年間の社会保険料をこの3ヶ月分の給与だけでどう判断しているのか、改めて言われてみると知りません。一体、どんな計算方法を使って社会保険料を算出しているんでしょう?

詳しく調べてみましたよ。


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社会保険料の計算方法とは?

まずは、社会保険料の基本的なところから説明していきますね。

月々の給料を見ると、本来の給料の額からあらかじめ会社で税金と保険料が天引きされていますよね。この天引きされた税金や保険料は、会社がまとめて支払っています。

社会保険料の場合、厚生年金と健康保険それぞれに被保険者が負担しなければならない料率が決められています。その料率の半分ずつを会社と被保険者が負担し、支払っていることになっています。

社会保険料の負担額は料率で算出されている

例えば、平成31年3月からの厚生年金保険料の料率は、18.3%になります。そして、18.3%のうち半分ずつの9.15%を会社と被保険者がそれぞれ負担するようになっています。

また、健康保険の場合は会社で加入している健康保険組合により料率が定められています。

例えば、協会けんぽの場合だと、40歳以上65歳未満の介護保険に該当する被保険者の料率は11.42%、被保険者はその半分の5.71%を、40歳未満の介護保険に該当しない被保険者の料率は9.69%、被保険者の負担料率はその半分の4.845%となります。

このように、社会保険料の負担額は料率によって算出されているので、給料の金額によって変化していきます。しかし、毎月の残業代などの変化で給料に増額や減額が起こると、一人一人が毎月支払わなければならない社会保険料を算出する作業がとても大変になってしまいます。

そのため、厚生年金保険料と健康保険料を算出する時には、「標準報酬月額」という仕組みを使うように定められているんですよ。

標準報酬月額とは?

私たちの社会保険料を決める「標準報酬月額」とは、月々の給料を金額に応じていくつかの等級に区分したものになります。その区分に応じて、保険料が自動的に決まるようになっているんですよ。

厚生年金の場合は、給料の金額によって1等級から31等級まで区分けされていて、健康保険の場合は50等級まで区分されています。例として、下で厚生年金の標準報酬月額表を見ることができます。参考にしてみてください。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/20170822.html

例えば報酬月額が200,000円だった場合は、標準報酬月額表で見ると厚生年金の標準報酬は14等級になるので、被保険者の負担額は18,300円となります。

このように、社会保険料の負担額を算出するためには目安となる給料の金額が必要となります。その給料の金額はどこを基準にしているのかというと、それが毎年の4月5月6月3ヶ月分の給料の平均額とする、としているんです。

社会保険料は4月5月6月が基準になっている

毎年7月1日に、その年の社会保険料は決定されます。その決定基準とは、その年の4月5月6月の3ヶ月分の給料の平均金額を標準報酬月額表に割り当てて算出しています。

しかし、4月5月6月の給料でその年の社会保険料が決まってしまうのなら、その3ヶ月で残業が多く普段よりも給料額が高くなってしまったら、7月以降にもらう給料に見合わない場合も出てくるわけですよね。

会社側も社会保険料を被保険者と折半しているので、なるべく4月5月6月には残業をしないで通常の給料での社会保険料の算出にしたいところなんです。ですので、4月5月6月は残業をしないように、としている会社もある訳なんですね。

まとめ

確かに、毎月の給料から従業員分をそれぞれの社会保険料を計算していたら、毎月末は修羅場になりそうですね・・・。毎年の4月5月6月分の給料のデータを要求されている意味を深く考えていませんでしたが、勉強不足だったと反省しています。

標準月額報酬表から見ると、もし4月5月6月中の給料の平均額が残業代によって普段より3万円増額したとすると、厚生年金は14等級から16等級へ、健康保険は17等級から19等級へと2等級ずつ上がってしまうんです。

2等級アップになると、単純計算で社会保険料が5,600円~6,000円ほどは加算されることになります。そういう意味もあって、年度初めの3ヶ月間の残業代に注意する会社が多いんですね。

その1年の社会保険料の決め手が4月5月6月の給料の金額であることを意識して、仕事は時間内に終わるように心がけたいものです。


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