年末調整での扶養の対象は?収入や年金額で判断する方法!

「師走」とはよく言ったもので、1年のうちで仕事が山ほどある時期が12月です。どんな職種でも、年末に向けて慌ただしくなるのは恒例の事でしょうが、私のような中小企業の事務職でも忙しくてヘトヘトな日々を過ごす時期になります。

特に、年末調整の書類の確認は毎年のこととはいえ、結構大変な作業です。授業員それぞれの家庭環境なども違うため、毎年のように新たなる疑問を解消しなければならないのも頭痛の種なんです。

今年の疑問は、年金受給者や収入のある親は年末調整で扶養対象となるのか?という相談を従業員から受けました。

扶養家族とは、養っている子供などのことを指している認識が大きかったのですが、年金など収入のある人も該当するものなのでしょうか。早速、調べていこうと思います。


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年金受給者や収入のある人も扶養者にできる?

実は、子供だけでなく、親や祖父母なども扶養者として該当する場合があります。年金受給者であっても、パートやアルバイトで収入がある人でも、条件をクリアしていれば扶養家族として扱うことができるんです。

親と同居していなければ無関係、という訳ではありません。別居している親に仕送りをしている場合でも、条件にマッチしていれば扶養者として認められるので要チェックです。

扶養親族としての条件が合えば、

  • 69歳未満の扶養親族控除:38万円
  • 70歳以上の同居している老人扶養親族控除:58万円
  • 70歳以上の同居以外の老人扶養親族控除:48万円

以上を年末調整より差し引くことができます。

まずは、親などの親族を扶養者とするには、主要な条件が2つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

扶養者の対象になる条件1:生計が一であること

生計が一と認められるケースには以下のようなものがあります。

  • 同居していて、生活費を一緒にしていること
  • 別居していても、生活費や療養費などで毎月送金している事実があること
    (あくまでも生活費が別所帯として明らかな場合は認められません)

また、扶養者となり得る人物がどこでどんな生活をしているのか家庭の事情により異なるため、金額の制限などは特に定められていません。

確認用の書類を添付する必要はありませんが、会社によっては振込の確認を通帳などの提示を以って行う場合もあります。

扶養者の対象になる条件2:扶養親族の所得が48万円以下であること

令和2年度分より、年間の所得が48万円以下の場合は、扶養親族として認められることになっています。

ここで、誤解しやすいのが「所得」と「年収」の違いです。所得とは、年間の収入額から必要経費を差し引いた金額のことを言います。国民年金や厚生年金などの公的年金は、必要経費として年間の収入から差し引くことができます。

1年間の年金の収入額によって、公的年金の控除額は変わってきます。所得金額の計算方法は以下のようになります。
(収入金額が扶養親族に関係する部分を抜粋しています)

■65歳未満の人

年金の収入金額 年金の所得額
60万円未満 0円
130万円未満 収入金額-60万円

つまり、65歳未満の人の場合で年金受給のみが収入だとして計算してみると、
48万円(所得金額の条件)+60万円(公的年金控除額)=108万円

年金のみの収入の65歳未満の人で年間108万円以下の年金収入であれば、一般の扶養親族として年末調整時に38万円の控除を受けることができます。

■65歳以上の人

年金の収入金額 年金の所得額
110万円未満 0円
110万円以上330万円未満 収入金額-110万円

つまり、65歳以上の人の場合で年金受給のみが収入だとして計算してみると、
48万円(所得金額の条件)+110万円(公的年金控除額)=158万円

年金のみの収入の65歳以上の人で年間158万円以下の年金収入であれば、扶養親族として年末調整時に控除を受けることができます。70歳未満であれば38万円、同居の70歳以上だと48万円、別居で70歳以上だと58万円の控除額になります。

年金以外の収入がある場合には?

年金以外にも、パートやアルバイトをして収入を得ている場合があります。しかし、以下の人の場合には給与収入がいくらでも、既に年金だけで年間所得が48万円以上になってしまうため対象外になります。

  • 65歳未満の人で、108万円以上の年金収入
  • 65歳以上の人で、158万円以上の年金収入

また、令和2年度から給与所得控除額が変更されるので、1年間に得た給与の収入額が162.5万円以下で55万円を引いた金額が所得金額となります。

つまり、48万円(所得金額の条件)+55万円(給与所得控除額)=103万円以上の給与収入がある人は、年金所得が0円だとしても扶養の対象から外れます。

扶養の対象かどうかを確認する時には、例えば65歳以上で155万円の年金収入、60万円の給与収入のある人の場合だと、

  1. 年金の所得を計算する
    155万円-110万円=44万円
  2. 48万円との差額を出す
    48万円-4万円=4万円
    給与所得が4万円以下なら対象者となる
  3. 給与所得を計算する
    60万円-55万円=5万円
  4. 給与所得が2.の金額よりも低ければ対象となる
    4万円-5万円=1万円多い、つまりこの人の所得は49万円となるため対象とならない

まとめ

令和2年度から、年末調整の内容が大幅に変わります。扶養に関することも所得金額などが見直されているため、よく確認しておかなければ混乱を招きそうです。

扶養親族の対象となる所得の条件の「48万円以下」のハードルを見極めるポイントをまとめると、

  • 確実に対象になる人とは、
    収入が年金のみの、年間108万円以下の65歳未満の人、年間158万円以下の65歳以上の人
  • 対象者とならない人とは、
    • 年金収入が65歳未満の人で108万円以上、65歳以上の人で158万円以上ある人
    • 年金以外に103万円以上の給与収入がある人
  • それ以外の場合には、年金収入と給与収入からそれぞれ所得を計算して、48万円以下になれば対象者となります。

年末調整までに、自分の親が扶養家族として控除対象になるのか確認してみてくださいね。


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