じゃがいもの芽には毒!加熱しても無くならないってホント?
最近、中学生の息子がなぜか料理をやりたがって、私の手伝いをしてくれることが増えました。先日の土曜日には、昼食を一人で作ると言って張り切ってチャレンジしてくれました。
それで、息子が初めて自分で作ろうとしていた料理はカレーライス。不器用ながら一生懸命作っている手がピタリと止まり、考え込んでしまいました。
「じゃがいもの芽の毒って、加熱しちゃえば大丈夫なのかな?」そう言いながら、差し出したじゃがいもには所々芽が出ていました。以前、芽の出たじゃがいもには毒があることをテレビで見ていたので、息子が不安になってしまったようなんです。
確かに、毒があるとわかってるじゃがいもを料理に使うのは心配になりますよね。でも、じゃがいもの芽の毒について正しい知識があれば大丈夫!この機会にしっかり調べてみましたよ。
じゃがいもの芽の毒の正体とは?
じゃがいもの芽には毒が含まれています。じゃがいも特有の毒で、ナス科の植物が害虫から身を守るために作り出す毒の一種で、総称してポテトグリコアルカイドと呼ばれています。
ポテトグリコアルカイドには、ソラニンとチャコニンという2種類の毒があります。じゃがいもの芽や皮に含まれていて、過剰に摂取すると神経に作用して、最悪の場合には心不全に陥ってしまうほどの怖い毒なんです。
ソラニンやチャコニンを過剰に摂取すると、摂取後数分から2時間ぐらいで頭痛や嘔吐の症状が始まり、下痢、発熱や手足の冷えや頻脈、めまい、麻痺、大量に摂取した場合には昏睡状態や死亡してしまうこともあります。
体重50kgの人の場合、ソラニンやチャコニンを0.05g摂取すると症状が出て、0.15~0.3g摂取すると死に至る可能性があります。
こんなじゃがいもは要注意!
特に、家庭菜園などで栽培したじゃがいもは取り扱いに注意しておくことが必要です。じゃがいもの毒とは、以下のような状態になっているじゃがいものに含まれています。
- 緑色になった皮のじゃがいも
- 芽の出ているじゃがいも
- 皮がむけないほど小さく未熟なじゃがいも
皮が緑色になってしまったじゃがいもですが、日光や蛍光灯など光に当たることで毒が皮の周辺に蓄積するため、毒の濃度が高くなります。
また、収穫する時にじゃがいもを傷つけてしまうと、毒が増えることもわかっています。
毒が含まれているじゃがいもを、そのまま食べてしまうのは危険です。適切な処理をしてから調理するようにします。
毒のあるじゃがいもの処理の仕方
芽が出ていたり皮が緑色など毒のあるじゃがいもは、毒のある部分を取り退かなければいけません。
芽の出ている部分は、包丁のあご(持ち手側にある角になった部分)を使って、芽とその周辺も含めてえぐり取ります。
皮が緑になったじゃがいもは、実の白い部分が見えるまで皮を厚めに剥き取ります。また、小さくて未熟なじゃがいもは皮ごと食べないようにします。
以下は農林水産省の動画ですが、じゃがいもを調理する際に気を付けるポイントがまとめられています。参考にしてみてくださいね。
上の動画にもありましたが、「加熱することで毒の成分がなくなる訳ではない」とのことなのですが、加熱すれば毒が無くなると思っている人って、周りにもいませんか?
加熱しても毒は無くなりません。実験でも確証されているので、詳しく見てみましょうね。
じゃがいもの毒は加熱しても無くならない!
食衛誌vol.31, No.1, 67-73.によると、以下のようなデータが公開されています。
- 15分間茹でる:ソラニン・チャコニンの濃度に変化なし
- 150分間茹でる:ソラニン・チャコニンの濃度に変化なし
- 170℃の油で5分間揚げる:ソラニン・チャコニンの濃度はばらつきが多い
- 170℃の油で10分間揚げる:ソラニン・チャコニンの濃度は8割ほど残存する
- 210℃の油で5分間揚げる:ソラニン・チャコニンの濃度が6割は残存する
データには、じゃがいもの毒の分解が始まるのは170℃を境にしている、としていますが、決してすべての毒が無くなる訳ではありません。
210℃の油で10分揚げたとしても、茶色に焦げてしまい美味しく食べられる代物ではなくなってしまいます。
よって、じゃがいもの毒はどれだけ加熱しても無くなることはないので、しっかりと毒のある部分を処理してから調理するようにしましょうね。
まとめ
じゃがいもの毒って、過剰摂取するととても危険なものだったんですね。
実は、以前家庭菜園で掘り上げたじゃがいもで、小さくて皮も剥けないようなじゃがいもでも勿体なかったので、皮ごと切らずに揚げて食べたことがありました。
その時のじゃがいもの味が、独特のえぐみがあって口の中が変な感じがしたことを覚えています。あれが毒だった、ということなんですね。たくさん食べなくてよかったです・・・。
知らなかったら、今でもそうやって調理して食べていたことでしょう。今回調べてみて本当によかったです。今後は、じゃがいもの芽や皮の毒に慎重に対処していきたいと思います。