保冷剤の保冷時間の目安とは?ベストなケーキの持ち帰り方!
夏休みに実家に帰省する際、お土産を選びに娘と高速のサービスエリアで売店を物色していたところ、
「これ買って、おばあちゃん達と一緒に食べようよ。」
と娘が差し出したのは、生クリームたっぷりのロールケーキ。店ではしっかりと蓋がしまる冷蔵庫に陳列されているものです。
この先車で4時間もあるし、とても持たないでしょう?と子供を諭してその時はお土産を焼き菓子にしました。後日「ロールケーキ、保冷剤を大量に貰って買えばよかったじゃない。」と、恨めしそうに言う娘。
でも、保冷剤はケーキ屋さんに行っても大量に貰うことはなかったような。。今度の夏にリベンジすべく、保冷剤の保冷時間の目安と、長時間のケーキの持ち運び方法について、ケーキ店で働く友人に聞いてみることにしました。
ケーキ用保冷剤の数と時間の目安
ケーキ屋で働く友人は、先輩店員さんから、こう教わったそうです。
- 保冷剤1個…持ち帰り時間が30分以内
- 2個…30分から2時間
- 3個以上…2時間が限度
沢山入れるとその分保冷時間が長くなると思っていたのですが、数多く入れても2時間以上は効果がないとして、持ち帰りに長時間かかる場合は、購入をお勧めしないケーキ屋さんもあるそうです。
保冷剤の数、配置場所で効果は違う?
保冷剤の数を増やしても本当に効果が無いの?箱の中での保冷剤の設置場所で効果も違ってきたりしないの?
そんな素朴な疑問に、あるケーキ職人さんが行った面白い保冷剤の実験話を友人が教えてくれました。
数を増やしたら?
- クリーム系のホールケーキをケーキ箱に入れる。計測開始時、生クリームの温度は6.6℃。
- 箱A=箱内側に保冷剤3個のみ、箱B=箱内側に保冷剤4個と外側に2個を設置する。
- そのままケーキ箱を気温30℃の屋外(日陰)で置いておく。
実験結果は以下の通りだったそう。
箱A=16.6℃(一時間後)、20.9℃(二時間後)箱B=15.1℃(一時間後)、18.9℃(二時間後)
こちらのホールケーキ以外にもカップに入れたホイップ済みの生クリームでの実験も行ったところ、「保冷剤の数が増えれば、保冷時間も長くなる」と、この実験をされた職人さんは結論づけられています。
では、友人が先輩店員さんから聞いた「3個以上入れても2時間が限度」説はどこから来たのでしょう?恐らく風味の劣化と食中毒の心配からなるべく早めに食べて欲しい作り手の思いがあるそうです。
実験をされた職人さんによれば、冷たい温度(5℃くらい)で仕上げた味も、一時間で10℃以上も上がるなら、作り手の想定している味から遠いものになるだろうとのこと。
生温かいクリームは、甘さが強く感じられ、ダレてしまって見た目も悪くなるそうです。
実験結果を見ると、真夏に保冷剤を4個入れてたとしても、たった一時間でケーキは15℃近くまで上がるとは、少し驚きでした。
箱の中で配置場所を変えたら?
保冷剤の実験で、配置場所で変化があるのかどうかも調べられた職人さん。同じく5℃~6℃のホイップ済み生クリームをカップに入れ、箱にしまって気温が30℃位の日陰に置いたところ、一時間後の生クリームの温度はこの様な結果に。
- 保冷剤を箱の上に設置…19.6℃
- 箱側面に設置…19.1℃
- 箱底面に設置…16.4℃
保冷剤を座布団代わりにした位置が一番温度の上昇を抑えられますが、ケーキが不安定で崩れてしまいそう。中々難しいですね。
理科で習う冷たい空気は下に動くから箱の上に貼り付けるのも、あまり効果が無いようです。
決め手は箱の素材
保冷剤そのものの力は、あまり期待出来ない様です。クリーム系のケーキを美味しく持ち運ぶ手立ては、保冷剤ではなく、「箱」の方にヒントがあるとか。
先の保冷剤実験をされた職人さんは、効果的に保冷剤を使える素材についてもリサーチされた様です。
- お勧めな持ち帰り方第一位:発砲スチロールの箱にケーキ箱と保冷剤を入れる。
- お勧めな持ち帰り方第二位:ケーキ箱に保冷剤を入れ、保冷バッグにも保冷剤を沢山入れる。
冷たい生クリームカップと保冷剤(40g)3個を発砲スチロールに入れ、気温30℃の外に置くと、1時間後で5.7℃、2時間後で9.5℃、3時間後でも10.5℃という結果に。
保冷剤を入れた箱をただ保冷バッグにいれても保冷効果はわずかだとか。保冷バッグに保冷剤を入れ「冷蔵庫」に仕上げた上で、ケーキ箱を入れます。紙の箱は、もろに外気を通すので、外の空気を遮断する「冷蔵庫」が必要となるからです。
まとめ
保冷剤の力は、併用する入れ物の素材によって、随分変わるのだなぁと思いました。手土産に生クリーム系のケーキを持っていくのにも、あまり保冷剤を過信してはいけない様です。
気を遣う相手のお宅に訪問するには、でん!と、かさばる発泡スチロールからケーキ箱を取り出すのも気が引けます。
焼き菓子に替えるか、どうしてもクリーム系なら保冷剤入りの保冷バッグに入れて持参するがいいのかも。もちろん、保冷バッグや保冷剤は邪魔になりますから、スマートに引き取りたいものです。
実際に一時間後のケーキの温度がどんなものかを知ることができ、実験をされたケーキ職人さんに感謝するとともに、来夏こそはロールケーキが入る発砲スチロールと保冷剤持参でサービスエリアに寄ろうと思いました。