相続の遺留分とは?計算方法の具体例!
まだまだ先の話だとは思っているのですが、自分の両親や夫が亡くなったら深い悲しみの最中にでも、様々な手続きを着々としなければならないんだろうな、と考えさせられました。
というのも、先日隣家のおばあちゃんが急に亡くなりました。それを機に、パートで勤めていた同居していたお嫁さんは仕事を辞め、家の後片付けや手続きで本当に忙しくしている様子でした。
特に相続の手続きは期限もあるとのことで、色々と面倒なこともありそうですよね。相続の話はあまり縁起のいい話ではないのですが、何も知らないでいるのも世間知らずなのでは、と感じました。
どんな決まり事があるのか調べてみたのですが、相続には「遺留分」という制度があるとのこと。一体どんなものなのか、詳しく調べてみました。
目次
遺留分とはどんな制度?
例えば、2人兄弟の親が亡くなった時、子へ相続される遺産が遺言書や生前贈与などで1人だけに与えられるようになっていたら・・・。同じ親から生まれたのに、自分にはまったく相続される財産がないのは不平等だと思うのは当然のことですよね。
このように、遺言書に「○○へ全ての財産を譲る」としてあったり、相続権のある者のうちの誰かだけが生前贈与を受けていたりした場合には、「遺留分侵害請求」を行使して遺産を取り戻すことができます。
遺留分が認められる人とは?
遺留分が認められるかどうかには条件があります。法律では「兄弟姉妹以外の法定相続人」とされていて、具体的には以下のようになります。
- 配偶者
法廷婚をしている夫や妻 - 子ども・孫・ひ孫など
父親が亡くなった場合で、本来相続する子どもが先に亡くなっているとその子ども(亡くなった人の孫に当たる)などに相続される - 親・祖父母
亡くなった人に子供や配偶者などが居ない場合、その親や祖父母(直系尊属)に相続が認められる
このように、一定範囲内の法定相続人に相続することが定められています。亡くなった人の兄弟姉妹や甥姪には、遺留分は認められていません。
遺留分はどうやって計算するのか?
遺留分侵害請求ができる条件を満たしている場合、遺留分がどの程度取り戻せるのか割合が決められています。遺留分の計算をする時には、相続する人の人数によっては2段階の割合計算をしていく必要があります。
まず、「総体的遺留分」として全体の財産のうち相続できる割合を出します。続いて、各相続人個別の割合を掛け算して「個別的遺留分」を算出します。では、亡くなった人の財産からどれぐらいの割合を遺留分として取り戻すことができるのか、見ていきましょう。
遺留分の割合
遺留分の割合は、以下の表のように法律で決められています。
相続人 | 総体的遺留分 | 個別的遺留分 配偶者の遺留分 |
個別的遺留分 子どもの遺留分 |
個別的遺留分 親の遺留分 |
配偶者のみ | 1/2 | |||
配偶者と子ども | 1/2 | 1/4 | 1/4 | |
配偶者と親 | 1/2 | 1/3 | 1/6 | |
配偶者と兄弟 | 1/2 | 1/2 | ||
子どものみ | 1/2 | 1/2 | ||
親のみ | 1/3 | 1/3 |
全体の遺留分の割合は、親のみが相続する場合が1/3、そのほかのケースだと1/2となります。この割合を基にして、亡くなった人の財産から遺留分を算出していくようになります。
遺留分の計算方法
相続人が1人のみの場合には、以下の計算方法になります。
- 亡くなった人の財産×1/3(親・祖父母)
- 亡くなった人の財産×1/2(配偶者・子ども・孫・ひ孫など)
例えば、亡くなった人の配偶者のみが相続人の場合だと、亡くなった人の財産が1000万円とすると×1/2となるので、配偶者の遺留分は500万円ということになります。
相続人が親のみとなっている場合には、総体的遺留分は1/3になるので亡くなった人の財産が1000万円×1/3で親の遺留分は約333万円ということになります。
では、相続人が複数の時にはどのような計算方法になるのでしょう。具体的な例をあげて見ていきましょうね。
相続する人が複数いる場合の計算方法
相続人が複数いる時には、総体的遺留分に各相続人の割合を掛け算していきます。いくつかのケースに分けて、計算方法の例をあげていきますね。前述した遺留分の割合の表を参考にして見ていくとわかりやすいですよ。
相続人が配偶者・子ども1人の場合
配偶者の遺留分は、総体的遺留分割合は1/2です。一方、子供の総体的遺留分割合も1/2になります。そして、それぞれ個別的遺留分割合を1/2ずつ掛け算します。
この場合の計算式は、以下の図のようになります。
相続人が配偶者・子ども2人の場合
配偶者の遺留分は、総体的遺留分割合は1/2です。一方、子供の総体的遺留分割合もそれぞれ1/2ずつになります。そして、それぞれ個別的遺留分割合を1/2ずつ掛け算します。
さらに子どもの場合の遺留分には、子供の人数で割った数を掛けます。この場合子どもの数が2人なので×1/2になり、計算式は以下の図のようになります。
子どもはの遺留分は、それぞれ1/8ずつということになります。
相続人が配偶者・子ども3人の場合
配偶者の遺留分は、総体的遺留分割合は1/2です。一方、子供の総体的遺留分割合もそれぞれ1/2ずつになります。そして、それぞれ個別的遺留分割合を1/2ずつ掛け算します。
さらに子どもの場合の遺留分には、子供の人数で割った数を掛けます。この場合子どもの数が3人なので×1/3になり、計算式は以下の図のようになります。
子どもはの遺留分は、それぞれ1/12ずつということになります。
配偶者・親1人の場合
配偶者と親の1人が相続人となっている場合には、以下の図のようになります。
配偶者と両親が相続人の場合は、親が2人になるので1/6×1/2=1/12となります。親は1人当たり1/12の遺留分を相続できます。
子どものみ3人の場合
相続人が子どものみで3人の場合には、以下の図のようになります。
全体の財産を頭数で割るので、以上のような割合となります。
まとめ
もしも、遺留分を相続できるような間柄の人が亡くなった時、まったくの赤の他人や愛人などに全ての財産を相続するように遺言書があったら、手も足も出ないということはないんですね。
遺産相続のドラマなどで遺言書に書き記していることが全てのように取り扱っていることもあったので、正直なところ驚いています。
また、亡くなった人の兄弟姉妹には遺留分の相続権がないのですね。もし、兄弟間で財産の相続をしたい時には、遺言書を書いておくようにしないといけませんね。