作家は印税で生活できているのか?現実は甘くない?!
若い時ほど読書はしなくなりましたが、一旦読み出すと次の展開が知りたくて止まらなくなる性分なので、いつも読む時間には気を付けています。本屋でも、帰ってから何かしなくてはいけないことがあるのに、売り場の小説の帯のキャッチコピーにそそられて、つい買ってしまったりしたらもうダメ。
だって、お気に入りの作家さんの作品が目に入ったら、思わず手に取りたくなるのはみんな同じですよね。最近だと、映画化やドラマ化されている原作として紹介されている作家の作品を、改めて読んでみるのも好きなんです。
私のように、映像化で興味をもって原作を買う人も多い訳ですし、売れている作家さんはきっと「夢の印税生活」なんでしょうね。羨ましい限りです。
とはいえ、本当に作家は印税で生活できるものなんでしょうか?気になるので調べてみましたよ。
印税とは?
まずは印税について、詳しく説明していきますね。
印税とは、国に治める税金のことではありません。印税とは、作家が書いた作品を出版社が複製して販売する時に、発行部数や販売部数に応じて決められた割合で計算して作家に支払う著作権使用料のことをいいます。
印税の額を求める時に必要となるのが、決められた割合(印税率)ですが、どんな大御所作家であっても最大で10%だと言われています。実績などによって条件が変わってくるので、新人作家やあまり売れていない作家の場合は5~8%とも言われています。
印税の計算方法
印税額を求める計算式は、以下のようになります。
それぞれのワードの補足としては、
- 本体価格:消費税を含んでいない本の価格のこと
- 部数:条件によって部数の捉え方が違って、
- 「発行部数」製作した部数全部のこと
- 「実売部数」実際に売れた部数のこと
- 印税率:最大10%、一般的に5~10%
印税額はどれぐらいになるの?
では、上の計算式を使って印税額を計算していきましょう。
例えば、消費税8%として、印税率8%の作家の1,400円の本が10万部売れたとしたら、1,400円×100,000部×8%×1.08=12,096,000円となります。
印税額1,200万円?!本が売れた時の印税ってとんでもなくすごいですよね。夢の印税生活、も現実にあり得るのかもしれないと思ってしまいます。しかし、この数字の条件に当てはまるような作家とは、全体数から見ればごくわずかなんです。現実はどんな状況なのか見ていきましょう。
作家は夢の印税生活ができるのか?
日本に居る作家志望の潜在人口とは、実に数百万人ほどいるとも言われています。しかし、仮に作家デビューができたとしても、2作目を出版できる作家は多くいないのが現実なんです。
現代で、1年間に一般的にベストセラーとされている10万部を売り上げることができた作品とは、300冊ほどと言われています。いかにベストセラー作家となる道が狭き門であるか、わかるかと思います。
ベストセラーを毎年1冊ずつ連発できていれば、印税で1,200万円となり、結構な高給取りになります。
ベストセラーとまではいかずとも、初版で売り出されるのは大体3,000~10,000部と言われています。売れ行きが良ければ増版ということになるのですが、10万部を売り上げることとはかなり大変なことになる訳です。
実際は、活字離れも相まって1万部売れれば出版社は万歳三唱の大ヒットだと言われています。とはいえ、先の例だと1万部の印税で120万円です。この1万部売り上げた本を書き上げるのに要した月日が1年だったら、年収120万円となる訳ですね。
家族を養うのに、年収120万円では無理です。一般的に、子供2人の4人家族の月の生活費は約24万円です。年収500万円の手取りが大体そのくらいなので、1年間に4万部以上の売り上げがないと、赤字になる計算になります。
あるベストセラー作家が言うには、20年売れ続けることができれば本物の人気作家だ、と。継続することは本当に難しい世界なんですね。
まとめ
私たち読者は、よく目にする作家はみんな売れていると思いがちですが、よくわからないで作家の印税生活を羨ましがっていたんですね。現実はそんなに甘くない訳です。
1冊の本を書くために、どれだけの年月を費やしているかもわかりません。東野圭吾さんのような書けば売れるような作家だと、印税生活をしているかもしれませんが、並々ならぬ努力と苦労をしているからこそでしょう。
その道で食べていくのには、どんな職業でも苦労があるんですよね。変なことを考えずに、純粋に作品を楽しみたいと思います。