海苔を消化するのは日本人だけ?驚きの調査結果とは!
もう十年以上前のことですが、ロサンゼルスで働いている友達が、こんな話をしていました。
「アメリカでは黒い食べ物嫌がる人がいるんで、海苔を内側に巻いて海苔巻き作るんだよ」
おお、そういえば、カリフォルニアロールとか見ると、海苔、内側に巻いてあって見えないですよね。
お寿司は人気があるそうですが、海苔はイヤ、という人、いるみたい。
で、そんな話はしばらく忘れていたんですが……。先日、こんな話を耳にしました。
「海苔を消化できるのは世界で日本人だけである」
なんと!人間の体の神秘がまたひとつ明らかに!一体どういうことなんでしょう?
日本人特有!「海苔を消化する腸内パワー」
NCBI(国立生物工学情報センター)で閲覧可能な文書の中に、フランスの微生物研究チームが2010年に発表した論文があります。
これによると……。
ゾベリア・ガラクタニボラン(Zobellia galactanivorans)という奇妙な名前の海洋性バクテリアが、海藻類に含まれる糖を分解する酵素を持っているのだとか。
バクテリアと聞くとぎょっとする人もいるかもしれませんが、別に不潔なものというわけではなく、単細胞の微生物、または原核生物のことを指します。
中には毒性・病原性を持つものもありますが、多くは、生態系の中の物質の循環(分解したり消化したり)に必要不可欠な存在となります。
そういう、いい働きをするバクテリアが、私たちの身の回りにもたくさんいるわけですね。
で、この酵素の働きを解明するべく、遺伝子の配列を調べたところ、驚くべき事実が!
この海洋性バクテリアの遺伝子が、日本人の腸内にのみ共生する腸内細菌から発見されたのだそうです。
話が難しくてお腹壊しそうですが……。
つまり、海藻を消化する能力を持つバクテリアは、北米人からは発見されず、日本人の腸(排泄物)にのみあった、ということなんです。
だから日本人は、海苔や海藻類を毎日食べてもちゃんと消化するんですね。
でも、逆に、海苔をちゃんと消化できるのが日本人だけなんて、ちょっと驚きです。
海苔を食べるのは日本人だけなの?
でも、海苔を食べるのは日本人だけ、とは限らないですよね。
韓国にも、韓国海苔という海苔があって、ポピュラーな食べ物だと聞いたことがあります。日本の海苔と韓国海苔、違うんでしょうか?
実は韓国海苔、ごま油をつけてパリッと焼いてあるので、消化しやすくなっているんだそうです。
一般的に、生海苔と焼き海苔を比較した場合でも、生海苔のほうが消化はよくない、と言われています。
焼き海苔のほうが消化がいいそうなんです。
朝ごはんの定番である味付海苔や、海苔の佃煮も、火が通してあるので、消化はそれほど悪くない。
でも、おにぎり海苔やお寿司の海苔は、生海苔をちょっとあぶって使うことが多いです。
海藻を消化する力を持つ日本人なら大丈夫でも、外国の人には厳しいのかもしれません。
ただ……。
単に消化しない、というだけで、外国の人が海苔を食べても、具合が悪くなるとか、そういう日常生活に支障をきたすようなことはなさそうです。
ただ、たくさん食べた翌日のトイレでは、消化していない海苔が黒く……という可能性は、ありそうですが……。
日本人だけが持つ海苔との古い関わり
じゃあ、どうして日本人だけ、海苔を消化する力があるんでしょうか?
長い年月、海藻類を日常的に食べ続けてきたことで、腸内のバクテリアが海藻を消化する遺伝子を持つようになったのでは、というのが、その問いの答えのようです。
遺伝子レベルで継承されている能力、ということなんでしょうか!?確かに、日本人は古くから海藻類をよく食べていたようです。
701年に編纂された「大宝律令」という文書の中にも、朝廷への献上品の一覧の中に海苔が登場し、しかも結構貴重なものだったらしい。
記録に無いだけで、もっと昔から食べていたのかも。海苔には長い歴史があるんですね~。日本人には馴染みの深い食べ物、海苔。
私たちの体には、海のめぐみを美味しくいただくことができる能力が、生まれながらに備わっているのです。
まとめ
ロサンゼルスに住む友達が話していた、「アメリカ人は黒い食べ物が嫌いなので、海苔を嫌う」という話。
聞いたときは”言い得て妙”と思ったんですが、もしかしたら、海苔を食べてお腹を下したことがあったのかもしれません。
それにしても、人間の体には、まだまだ不思議なことがたくさんありますね。
海苔は大好物なので、食べても大丈夫な腸を与えてくださったご先祖様に感謝しなければ!と思いました。